おいしいビールの思い出は、というとかつて吾妻橋にあったアサヒビール工場の工場見学後の出来立てビールだった。
現在、アサヒビール本社と、その隣に金色の火の玉みたいな巨大オブジェを屋上に頂いたビアホールがある場所は、その昔はアサヒビールの円いラベルのネオンサインが明滅する、広大な工場だったのだ。
その工場が、年に一度解放され、見学コースを歩いた最後に、ビールがジョッキ1杯振る舞われる。やはり大学生だった僕は、コイツがうまくて、コースを何周もしたものだ。最後には係の人に顔を覚えられてしまい、1杯余計にもらった。「もう、これっきりにしなよ」という言葉とともに……。
ところが、このうまいビール体験を凌駕(りょうが)するビールを2年前に味わった。それというのが、やはりアサヒビールの工場だった。
日帰りバスツアーで出掛けたアサヒビール茨城工場だった。やはり、工場見学後に飲んだ、スーパードライ エクストラコールドが無茶苦茶うまかったのだ。
もともと、僕はドライ系ビールを好まない。学生時代の工場見学の際には、まだアサヒスーパードライは誕生していなかった。飲んだのはクラシックなドラフトビールである。
それが、2年前に飲んだエクストラコールドだけはやたらとうまかった。この銘柄は、どこのお店にも置いているビールではない。スーパードライを凍結寸前まで冷却してからそそぐため、専用ディスペンサーが必要なのだ。工場見学後も、僕はある寿司屋さんでこの銘柄を見つけて飲んだ。ところが、あの感動は得られなかった。
そうなのだ、やはり、工場まで足を運ばないとダメなのだ。
