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ぴー吉 上野 歩 / イ  第35回『幸せ感』・・・P2

挿絵  頂戴したものに対して不遜な言い方だが、輸入もののわりには香りのよい松茸である。
 この日は、先ほどのバター炒めのほかに網焼きにしたのをすだちと醤油で食べた。
 バター炒めはさめてもおいしいし、いろんな酒の肴になると思う。
 どちらもおいしいのだけれど、めったに口にできないものに対しては、ただ、おいしい、うまいだけでなくて、どうしてもプラスαを要求してしまう。  それは、食べた瞬間に、からだの奥からじーんとわいてくる幸せ感である。
 網焼きにした松茸のかさの部分をかみしめ、もうひと口で、じくをゆっくりとかみながら味をさぐっているうちに、森の奥深くわけ入ってゆくような光景が一瞬あらわれたけれど、たしかな幸せ感を得られるまでにはいたらなかった。
 ありとあらゆるものを食べたわけではないし、わずかな選択肢であるのだけれど、たしかな幸せ感を得られるものというと、僕はアワビの肝や、上等な赤ワインが頭に浮かぶ。あれは、おおげさな言い方をすれば、海や大地の生命そのものをからだにとり込むような昂揚がある。

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