そうやってあちこちの農家の庭に入るのだって、さいしょはすこし気がひけてたのだ。それが、プールとうちとのあいだを行ったり来たりする道すがらトウモロコシの丈が高くなり、ヒマワリが大きくなるにしたがって、どんどんたのしみになっていった。
耳に水が入ったみたいで、頭のなかのたぷたぷいう音を聞きながら、入道雲の下、さっきの農家に向かってひき返す。子どものころ、学校のプールで耳に水が入った時は、プールサイドのあったかいコンクリに耳をつけて抜いたんだよな、なんてことを思い出しながら。
農家の庭でトマトをもらうと、おばちゃんが、つめたい井戸水に冷やしたのを1個おまけにくれる。がぶりとかじると、プールの塩素の水でひりひりしてた喉に果汁がしみわたった。
