きっと養殖なのだろうけれど、鯛をまるのまま1匹買うというのは豪儀ないい気分のものである。
今夜は三枚におろした片身だけをつかい、残りはチルドへ。
塩を溶かし込んだ酒にしばし漬けてから、皮の部分を湯引きし、薄切りにした鯛をカイワレダイコンの上にならべる。うえから塩、コショウし、オリーブ油をかける。家にパックで買ってあるスダチの果汁をふるのもいいけれど、生のレモンがあったので、これを搾って食べることにする。
それと甘エビとトマトとシソの冷製パスタで常用にしてるカリフォルニアの安物の白。
塩と酒であらったタイは生臭みがまったくなくワインによく合う。
ただ、カイワレダイコンの味が強いので、とちゅうからは鯛だけを食べるようにした。
カイワレはパスタとあえながら食べる。
翌朝の味噌汁は、まえの晩のパスタにつかった甘エビの頭でだしをとる。長い触角の、とげとげする頭をちゅーちゅー吸い、小口に切った長ネギ入りの熱い味噌汁をすすり、玄米をかっこむ。
880円の鯛は安いといえば安いが、それが1食ぶんでは分不相応になる。
けれど、この日の晩酌の肴は、三枚におろした鯛といっしょに持ち帰ったアラである。
まず、豚肉とゴーヤを豆板醤で炒めたのをつまみにビールを飲んで大いに夏を感じ、つづいて大皿の鯛のアラに着手する。
しょうがと酒でさっぱりと塩味で煮たかぶとの頬肉や目玉のゼラチン質をせせるようにして焼酎を飲る。
皿に残った骨とダシ汁だって、翌朝は鯛茶漬けにするわけだから、まさに骨までしゃぶることになる。
