ところが、この日は《かっぱ橋道具まつり》が開催されていて、いつになくにぎやかな日曜日だった。調理道具のワゴンセールをはしごする妻につきあう。なにを買うというのではない。ほとんどウインドー(この場合はワゴンというべきか)ショッピングなのだけれど。それにしても170店以上で構成された1キロ近くに渡る専門店街を見て歩くのはたのしいけれど、けっこう疲れた。
途中ですごい驟雨に降り込められて、道具街の北側にある区立図書館で雨宿りした。帰路、上野駅に向かって歩きながら見上げた雨の後の青空がひどく美しかった。それは〈昔の東京〉の空に似ていた。
もう一日は上野公園の国立科学博物館に行く。
子どものころから何回か訪れている場所だけれど、最後(20代の半ば)に来てからは15年もたっている。
堅牢(けんろう)で重厚な本館の建築や、エントランスのステンドグラスはあいかわらずだけれど、中央吹き抜けに展示されたドーム天井に向かって咆哮(ほうこう)しているような巨大な恐竜の骨格標本はタルボサウルスではなくて、以前はたしかアロサウルスであったと思う。
アロサウルスは、ラクウェル・ウェルチがブロンドの原始人美女を演じるアメリカ映画『恐竜100万年』で大暴れしてた。合成で貼り付けた恐竜の特撮が懐かしいな。
細部に意匠を凝らした吹き抜けの階段をゆっくりと上り、両翼の展示室を見てまわる。展示内容はすっかり変わっていた。それに室内が明るくなったように思う。
そういえば屋外にあったザトウクジラの模型がシロナガスクジラの実物大模型にかわっていたのには驚いた。
係のひとにうかがったところによると、以前あったザトウクジラは古くなって塗装の必要などが生じ、93年よりシロナガスクジラの模型になったらしい。かつてのザトウクジラも実物大だったけれど、全長30メートルに及ぶ地球最大の動物であるシロナガスクジラの迫力にはかなわない。でも、体表にフジツボをつけていた5メートルほどのザトウクジラの模型は、子どものころたいそう大きく見えたものだ。
