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ぴー吉 上野 歩 / イ  第92回『田村正和』・・・P2

挿絵 ところで、「どこに行くかは言えないんですけど」と、もったいぶっていたわりには、行き先はあっさりとネタバレした。
 車内で、試食用のたまり漬(らっきょう、白うりの鉄砲漬の2種)が配られ、その販促用のビデオが流れた。そこで日光のご当地名物として、これを紹介しているのである。
 そう、行き先は日光なのだ。爪楊枝に刺したらっきょうをかじりながら、僕はそれを知った。まあ、どこに行くんでもいいんだけどね。
 バスは杉木立の山間を行く。崖下の渓流ではたくさんのひとたちが水遊びをしている。
 大きな鳥居を抜けて、古い神社のそばにある土産物屋さんのまえでバスは止まった。
 ここで用意された昼食となる。
 畳敷きの大広間にあぐらをかき、精進揚げと山菜蕎麦、きのこの炊き込みご飯の定食にありつく。開け放った店内に、涼やかな山のそよ風が吹きぬけて、エアコンなど必要なかった。
 大きな葉物の天ぷらがあって、すこしぬめりがあるけどモロヘイヤではないし、つるむらさきかな? と思った。それにしても大きい。抹茶塩ではなく、蕎麦椀に入れて、つゆでひたひたにしながら食らいついた。あとで、お店のオバチャンにきいたら、やはりつるむらさきであることが判明する。
 食後に参道をぶらぶら歩いて古峯神社をお参りする。
 別名「天狗の社」とも呼ばれるこの神社は、境内や参籠室(さんろうしつ)、廊下に所せましと天狗の面や人形、額が掲げられている。
 僕も、土産物屋さんで烏天狗(からすてんぐ)の紙製のお面を買った。
 土産物屋さんの軒先に、地下水が湧き出ている。「これ、飲めますか?」ときくと、「ひと口飲んでみて、おいしいから」とすすめられた。ほとばしる清水を手ですくって口に含むと、そのやわらかな甘さに眼をみはった。「アイスコーヒーも飲んでってよ」と店のひとに言われるが、この水を味わってしまったら、お金を出してそんなものを飲む気がしなくなる。持っていたペットボトルに冷たい湧水を汲ませてもらった。

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