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ぴー吉 上野 歩 / イ 
第100回『食卓日記(7)〜座骨神経痛と福島のラーメンと交通博物館の巻〜』・・・P3

挿絵 *月*日
 アジの干物、キュウリとミョウガの塩もみ、生玉子、到来物のふりかけ錦松梅、なめこ汁で、玄米のご飯2膳の朝食をすませ大学に出講する。13時からの講義に出るのに、練馬区の自宅から2時間ほどかけて川崎市にある大学に向かう。中途半端な時間になるので、毎週火曜は遅い時間にたっぷりの朝食を食べて、お昼は食べない。
 講義が終わってから小田急とJRを乗り継いで秋葉原へ。エレクトリックタウンにオタク趣味がブレンドされたアキバの街を久し振りに歩く。きょうは、5月14日をもって閉館される交通博物館をのぞきにきたのだ。
「ウエノさんて、鉄ちゃんなんですか?」と、ある出版社の女性編集者Oさんに言われたが、僕は鉄ちゃんではない。交博を訪れた目的は、幻の駅・万世橋駅の遺構を見るためだった。
 石灯籠のある万世橋を渡ると、下を流れる神田川がにおった。そのドブ臭さが、すこし懐かしかった。僕の少年時代は、どの川もこんなにおいがしていた。そうして、この橋を渡り、父親に連れられて少年ウエノも何度か交博を訪れたものだった(鉄ちゃんじゃないよ)。
 310エンの入場券をもとめ、館内に入るとあらかじめ電話予約しておいた遺構見学の窓口へ。受け取った整理パスを首にかけ、集合場所の英バルカン・ファウンドリー社製1号機関車まえに向かう。新橋−横浜間の鉄道開業時の車輛だ。
 いよいよ遺構見学ツアーがスタート。定員25名が隊列を組み、展示フロアを横切って片隅にある小さなドアをくぐり抜ける。と、そこには、薄暗いほら穴のような廊下がのびていた。立ち込めている空気がひんやりと湿っぽい。しばらく歩くと、ぽっかりと広い空間に出た。レンガ造りの天井がアーチを描いている。
 かつて帝都のターミナル駅だった万世橋駅舎は、レンガづくりの立派な建物(設計者は東京駅とおなじ辰野金吾)だった。交博は、その跡地に建っているのだ。
 壁のタイルや、階段が往時をしのばせる。階段は、戦時中の金属供出で滑り止めの部分がはずされていた。都会の中心で、ここだけは時間が止まったままなのだ。その階段をのぼって明るい高架上に出た。ぺんぺん草がはえたホームの両脇を、オレンジ色の中央線が行き違う。
 そういえば交博の裏庭に弁慶号が屋外展示されているのを思い出して見に行った。前面に牛払いのカウキャッチャーがついたこのアメリカ型機関車が僕は好きで、少年時代にアンチモニーの模型を持っていたっけ(鉄ちゃんじゃないってば)。
 帰宅すると、妻も外出先からもどったところで、夕食は手っ取り早く、ドミノ・ピザをオーダーする。ピザとチキン、ポテトでビールと赤ワインを飲んだ。

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