西洋建築を日本の職人が見よう見まねで建てた擬洋風建築(ぎようふうけんちく)というのだそうだ、この旧済生館は。
かつて新潟市で、なまこ壁の旧新潟税関庁舎を見たことがあるが、あれもこの範疇に入るのだろう。出入り口のアーチの上には、やはり2層楼がのっていたあの建物は、ほとんど竜宮城のようだった。
さて、旧済生館である。1階部分の回廊がぐるりと取り囲んだ円周状の建物の中央は、カエデの木と置石の日本庭園になっている。
さきほど見学した文翔館の近くにある山形市立病院から本館部分だけをここに移築したそうである。展示されているかつての全体図を見ると、玄関横の右翼部分に手術室があり、回廊部分に診察室があったようだ。病棟は裏手に配され、そこには「隔離病棟」の文字も見えてどきりとさせられる。
楼閣に登ってみた。3階部分は立ち入り禁止だが、サザエの貝の先っぽのくるくるとした肝のようならせん階段が伸びているのを見ることができる。その階段にも職人らが存分に腕を振るった飾りがほどこされていた。
外に出て、ふたたびこの和洋折衷建築を横手から眺める。3層と2層のあいだに物見窓の手すりが張り出しているため、楼閣は3層にも4層にも見えて、かるいめまいをおぼえた。
