*月*日
『KATAYA 金型屋物語』全編をとにかく書き終える。
後は、原稿を先日の取材先に送り、技術的な部分や用語の確認をしていただくだけだ。
終わった。ひとまず終わった。
これまでのこと、特に取材した多くの方々のことを思い出す。そこで酌み交わされた酒、酒、酒……
夕方、近所の整骨院に行って全身のメンテナンス。
湯上りの晩酌は、三枚におろしたサンマを串打ちして塩焼きにした両づま焼き、肉豆腐、ミョウガとベランダでとれたキュウリの酢の物で、ビールと焼酎の水割り。今年の夏は、グリーンカーテンのキュウリもたくさんとれた。
食後に、原稿のひとまずの完成を祝って到来物の上等のスコッチを開ける。
*月*日
昼は冷蔵庫に残っていたハンバーグをトーストに挟んで食べる。
『KATAYA』を終えた高揚の後に虚脱感がやってきた。机に向かっても、なんとなく落ち着かない。PCのチャットでふじた画伯に雑談を仕掛けるが、向こうはコンペの資料作りで忙しく相手にしてくれない。
気分転換に散歩に出る。図書館の出張窓口で、ネットで予約していた本を受け取り、いつもの市場まで足を延ばす。
遠くに来ている台風の影響なのか大気が不安定で、弱い雨が降ったりやんだりする。
料理講師の妻が、教室の都合で今夜は夕食の支度が遅れるかもしれないと言っていたので、穴子の握り、ネギトロの軍艦巻き、海鮮太巻き、シメサバを買うことにする。
帰途、テニススクールのコートの植栽で彼岸花を見つける。今年は残暑が厳しく、彼岸過ぎの赤い花である。
*月*日
激しい嵐が通り過ぎた翌朝、ベランダの掃除をする。カエデの枝が少し折れたくらいで、ヒメリンゴの木などに被害はなかった。
空が青く澄み渡っている。風がさわやかだった。野分のまたの日である。
朝食は、妻が焼いたクロワッサンとクレソンだけが入ったポテトサラダ、ベーコンエッグ。アイスコーヒーにミルクをたっぷり入れて飲む。
テレビで保存復元された東京駅丸の内の赤レンガ駅舎が紹介されていた。東京ステーションギャラリーもリニューアルオープンした模様。かつて、ここに「ジョサイア・コンドル展」を見に行ったのを思い出す。コンドルの門下生である辰野金吾が設計した駅の美術館で企画された師の展覧会はとてもユニークだった。
東京ステーションホテルのバー「カメリア」にも久し振りに飲みに行きたいが、壮麗になった分、値段が高くなっていなければよいが……
<NCネットワークWEBサイト 連載小説>
KATAYA 金型屋物語
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