観光バスの車窓から、もくもくと沸き立つ積乱雲の下にコスモスの咲く風景を眺め、暑さの中にも忍び寄る秋の気配を感じつつ移動。
午後の見学地はやはり宇都宮市内にある大谷資料館だ。
明治村に移築された旧帝国ホテルや池袋に現存する自由学園明日館にも使用された大谷石の採掘の歴史が分かる資料館なのだが、いくら僕が西洋建築ファンとはいえ、そんなマニアックな目的だけで訪れたわけではない。
ここの圧巻は採掘場跡だ。地下に2万立方メートルにも及ぶ巨大空間が広がっているのである。
実際に目にしてみると、古代エジプトの神殿のようでもあった。
床は湿って、まるで砥石の上に立っているみたいだ。
午前の「どうくつ酒蔵」が戦車工場だったように、こちらも戦時中は中島飛行機の疾風(はやて)の機体工場に利用されていたという。そして、「どうくつ酒蔵」が現在放映中のドラマ『金田一少年の事件簿』のロケ地だったように、こちらもさまざまな映画、ドラマの撮影に使われている。資料館の入り口には現在公開中の映画『るろうに剣心』のポスターが貼られていて、まさにそのポスターの背景はここで撮影されたと説明書きがあった。
構内の温度計を見ると、気温11度、湿度93パーセント。軽く羽織るものが必要な環境である。
日盛りの外を思うと、出て行きたくないのだけど……そうもいかないよな。
