上野:うちは家内工業のプラ屋(合成樹脂加工所)で、小学生の頃、仕事を手伝わされていると、「偉いね」って、近所のおばさんが1000エン札を握らせてくれました。このエピソードは『わたし、型屋の社長になります』にも出てきます。
ふじた:ところで、今作も製造業向けBtoBで、その世界では有名な株式会社NCネットワークさんのサイトで連載されていた作品を再構成なさったということです。連載の内容とは大きく違うんでしょうか? 違うとしたら、変えた理由を教えていただけますか?
上野:技術面にとどまらず製造業界は秒単位で変化を遂げています。まさに今の今にアジャストさせる内容になっています。
ふじた:おお! 連載を読破された方も改めて楽しめそうですね。
上野:読破というか、Web連載では完結していなかったので、書き下ろしを加えて、初めて物語として完成しました。そういう意味で、まったくの文庫オリジナルになります。
ふじた:『削り屋』は映像化したら面白いだろうなあ、と思う作品でした。今作の登場人物では、上野さんの中でどなたか実在の役者さんが演技されてました?
上野:特に実在の役者さんを想定したりはしていませんでしたが、アッコに限らずすべての登場人物が、僕の中ではしっかりと息づいていました。
ふじた:いつも上野さんの作品は個性あるキャラクターが登場しますからね。読者の方には映像化するならこの人に、って楽しみ方もおすすめしたいと思います。後編インタビューは僕が読後状態になるわけですよね。これは楽しみ。