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ぴー吉 上野 歩 /
第208回 東京ドームの悦楽・・・P3

挿絵  東京ドームの座席が改良されたようで、座面と背もたれにパットが付いてより快適になった。
 スターティングオーダーのアナウンスを聞きつつ飲む生ビールは最高だ。たとえ、頭の長い男が右斜め前の席にいて、その側頭部がホームベース上に常にかかっている位置関係にあったとしても。
 今日、買い求めてきたおつまみは、タコ焼き、ヒレカツサンド。
 池袋のデパ地下で買ってきた甘海老のコチュジャン揚げは、特にお気に入りの一品である。以前、札幌行きの寝台特急北斗星に乗車した際にも持ち込んで、缶ビールとともに味わった。だから、甘海老のコチュジャン揚げは夜汽車の味がする。北海道新幹線デビューによって廃止された北斗星の思い出の味である。

 隣の席の〔SAKAMOTO〕という応援はっぴを掲げているオバチャンに、ここ数試合欠場中の坂本が代打で登場すると、「よかったね」と声をかける。
 2番の片岡が3打席連続で送りバントの構えをすると、「ここは打たせるべきだ」と主張するもう一方の隣のオジサンに「そうですよね」と同調する。
 7回まで零封したエース菅野が降板。なんらかのアクシデントがあったと思われる(翌朝の新聞で右手中指のマメをつぶしていたと判明)。8回のマウンドに立っていたのはマシソンだった。
 ここまでベイスターズのルーキー今永に抑えられていた。ホントゆーと、ベイスターズ側は三浦大輔投手の登板を期待していたのだ。
 去年の夏、横浜スタジアムの傍を通りかかった時だった。僕はある原稿を書くため、取材先の送迎車の中にいた。すると、浜スタから三浦投手がランニングのために日盛りの街に飛び出してきたのだ。アンダーシャツにユニフォームパンツ姿の鍛え上げられた肉体、リーゼントがカチッと決まった三浦投手はオトコの色気に満ちていた。

 ともあれ、ジャイアンツはキャッチャー小林が意地で放ったタイムリー2ベースの1点のみ。その虎の子の1点も、9回、3番手の澤村がホームランを浴びて同点に。
 僕は延長戦に備えてハイボールを売店に買いに行く。
 コンコースは酔っ払いだらけだった。
 ハイボールを買う前に用を足しておこうとトイレに向かうと、見たこともない長蛇の列。仕方なく最後尾につく。
 やっと中に入ると、「ファウルボールにお気をつけください!」のアナウンスが……ここは大丈夫でしょう。
 いつきても東京ドームは最高だ。

「アランチョ・ネロ」の模様はコチラ
http://www.giants.jp/info/img/2016/arancio_outfield.jpg
http://www.giants.jp/info/img/2016/arancio_infield.jpg

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