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ぴー吉 上野 歩 /
第217回 『就職先はネジ屋です』(前編)・・・P3

・『スター・ウォーズ』ではなく『ローグ・ワン』

挿絵

上野:画伯は、「ネジ屋」に登場する気になるキャラはいましたか?

挿絵

ふじた:キャラといいますか、反乱軍みたいな若手3人がユウのもとに集まる。これがいいんですよ。目論む感じが。

挿絵

上野:ああ、アウトサイダー試作ラボね。


挿絵

ふじた:そうそう。実は本作、僕は非常に非常に面白く拝読させていただきまして、少々アツく語ってよかですかね?

挿絵

上野:よかよか。

挿絵

ふじた:ほんとは最初に謝らないと、と思っておりました。というのも、プルーフ版を手にした時、ちょっと心配になったんですよ。まず製造業を題材とした4作目ともなれば、似た感じになりはしないかと疑ってたわけです。

挿絵

上野:ああ、ワンパターンになるかと、という意味ですね。

挿絵

ふじた:平たく言いますとまさに。

挿絵

上野:ああ、ねえ。


挿絵

ふじた:加えて、ネジというものがあまりにも身近な存在で、エンターテイメント作品としては大丈夫かな、とも。
しかし、そんな心配は無用でした。特に「共感」っていうところでは、僕にとってこれまでの吾嬬町作品で一番でした。大いにシビレましたよ。いやはや申し訳ございません。

挿絵

上野:そうおっしゃっていただいて、嬉しいのですが。そのシビレ感とはどこに?

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ふじた:まず、ネジっていうのは、縁の下の力持ち。陰で支える位置にある最小単位の力持ちなんだなと。そこに気づいた時、ネジってものの凄さにまずシビれた。ストライク・ワン!

挿絵

上野:ほうほう。

挿絵

『スター・ウォーズ』的に例えると、ユウを含めて本作の主要登場人物は「凄腕」だけれど「ジェダイ」ではない気がする。みんな努力と経験の猛者(もさ)なんですね。ユウも『削り屋』の剣拳磨のような天才肌とはどうも違う。ひらめきと、そしてなにより社内外とのネットワークで難問を乗り越えてゆくわけです。ユウはレイアでもレイでもなく、アウトサイダー試作ラボの仲間たちと突き進むジン・アーソなわけです。つまり、熱意の仲間たちとともに進んでゆく感じは、吾嬬町サーガにおける『ローグ・ワン』なのですよ。シビれましたね。ストライク・ツー!

挿絵

上野:出た、また『スター・ウォーズ』!


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ふじた:『ローグ・ワン』は名作中の名作ですからねえ。そして「世の中のモノは常に不完全」の言葉。これはクリエーターにとってまさに金言です。ストライク・スリー! で、ノックアウトですよ。

挿絵

上野:「あとがき」にも記載したんですが、作中に登場する絶対に緩まないネジ「マタナット」は、ハードロック工業株式会社のハードロックリムをヒントにさせていただきました。そして、「世の中のモノは常に不完全」は、同社社長の著書『絶対にゆるまないネジ−小さな会社が「世界一」になる方法』の中の「世の中のモノは常に不完全≠セからです。当然、そこには必ず改良の余地があります。」を参考にしました。

挿絵

ふじた:これでよし、などありえない。沁みますねこれは。だから明日があるんだっていうね。それからプルーフ版を読んでいて奇抜なネジが登場するたびに「挿絵があったら分かりやすいんだけどなあ」と思っていたんですが、出来上がった文庫版を見ると入っているじゃないですか。これもイイ! ベリー・グッド!!

挿絵 挿絵

上野:イラストを入れたのは、プルーフを読んでいただいた書店員さんの意見を反映したんですよ。装画担当のおとないちあきさんに本文のイラストもお願いしました。

挿絵

ふじた:そうでしたか。

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上野:いっぱいしゃべっていただいので、前編のページがいっぱいになりました。

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ふじた:うーむ、語りすぎたか! インタビュアーのほうが語ってるっていうね。大丈夫かな……苦情が来そうですが、また後編でということで。

(後編につづく)

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