・個人の物語に寄り添う
上野:リモートワークが進んでいます。仕事柄、僕らは生粋(きっすい)のリモートワーカーということになります。
おとない:そうですね。
上野:おとないさんは、お仕事は昼間にされます? それとも夜型とか?
おとない:基本は昼間にするのですが、時間が足りない時は明け方くらいまで机に張り付いてますね……。
上野:タフだなあ。僕は実家が町工場のせいか、早起きして仕事をして、夕方になるとおしまいにして、お酒にするって習慣が身に沁みついてます。
おとない:ご実家が工場をされているのですね。
上野:小さな工場でしたが、父の代で閉めました。僕が今の商売を始めたので。
おとない: わたしもオンオフの切り替えがもっと上手くならなければと思うのですが、なかなか難しいですね……。
上野:ところで、この件には触れないわけにはいかないですよね。おとないさん、2匹の猫ちゃんをお宅に迎えられた。
おとない: はい、保護猫を引き取らせていただきました。 猫と暮らすのは初めてなので毎日バタバタしております。
上野:新聞で読んだのですが、ある作曲家の方が飼っている猫から学んだのは「無償の愛」だそうです。人になにかしてあげても「返礼がないな」「挨拶がないな」とすぐに思ってしまうところが、お返しなど求めない愛もあることを知った、と。猫がどう思っているかは知らないが……と。
おとない:「無償の愛」――そんなに大層なものを持てているかどうか分かりませんが、 家にいてくれるだけで嬉しいという気持ちはありますね。 悪戯(いたずら)とかは怒りますけど……。
上野:はは(笑)。今回の「鋳物屋」なんですが、物語の後半でチヒロとルカが打ち出す一般消費者向けビジネスは、鋳物の背景に「愛」とか「物語」をこめたかったんです。
おとない:チヒロさんとルカさんのビジネスは、個人個人のどんな細やかな物語にも優しく寄り添ってくれそうですね。
上野:読む方にそう感じていただけたら嬉しいです。
(おわり)
