さて、今回の第2の味噌カツ体験である。
眼のまえに出てきた定食は、皿に白いご飯が盛られ、お椀に豆腐の赤だし味噌汁がつき、問題の味噌カツは、白いミート皿にレタスと薄切りきゅうり、マカロニサラダが添えられて鎮座まします洋食ふうのたたずまい。
見かけはまあまあだな、と、ぱちりと割り箸わって、ひょいと味噌カツをひと切れ口にほうりこんだ。
いや、思わず眼を見はりました。
うまかった。
ただ甘いだけ、と感じていた八丁味噌ダレが、かりっと揚げたてのトンカツにまるで和ふうドミグラスソースとでもいった風合いで、上品にまろやかになじんでいた。
あんまり気にいったので、おみやげにしようと思って、名古屋駅で、新幹線を待つあいだに味噌カツのソースをさがしたけれど、商品化されていなかった。
つまり味噌ソースは、その店々によって、固有のブレンドがなされているというわけだ。
今回うまいと感じたのは、あの店の味噌カツだからこそなのか?
そうしてみると、あそこはくずれた雰囲気ながら、質の高い洋食を供する店だった。僕のあとから入ってきた OLふうの女性客が頼んだエビフライ(名古屋!)もリッパだったし…。
それともこの10余年、浮いて沈んで、沈んで浮いてをくりかえしてるうち、東京もんのあっちの味覚のスペックも上がったということか?
