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ぴー吉 上野 歩 / イ  第36回『味噌カツ復活』・・・P3

挿絵  さて、今回の第2の味噌カツ体験である。
 眼のまえに出てきた定食は、皿に白いご飯が盛られ、お椀に豆腐の赤だし味噌汁がつき、問題の味噌カツは、白いミート皿にレタスと薄切りきゅうり、マカロニサラダが添えられて鎮座まします洋食ふうのたたずまい。
 見かけはまあまあだな、と、ぱちりと割り箸わって、ひょいと味噌カツをひと切れ口にほうりこんだ。
 いや、思わず眼を見はりました。
 うまかった。
 ただ甘いだけ、と感じていた八丁味噌ダレが、かりっと揚げたてのトンカツにまるで和ふうドミグラスソースとでもいった風合いで、上品にまろやかになじんでいた。
 あんまり気にいったので、おみやげにしようと思って、名古屋駅で、新幹線を待つあいだに味噌カツのソースをさがしたけれど、商品化されていなかった。
 つまり味噌ソースは、その店々によって、固有のブレンドがなされているというわけだ。
 今回うまいと感じたのは、あの店の味噌カツだからこそなのか?
 そうしてみると、あそこはくずれた雰囲気ながら、質の高い洋食を供する店だった。僕のあとから入ってきた OLふうの女性客が頼んだエビフライ(名古屋!)もリッパだったし…。
 それともこの10余年、浮いて沈んで、沈んで浮いてをくりかえしてるうち、東京もんのあっちの味覚のスペックも上がったということか? 

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