毎年、冬から春のはじめにかけてベランダにヒヨドリがやってくる。
ヒヨドリは複数くるが、そのなかで、人懐こいのが1羽いる。そいつに「ぴー吉」という名前をつけた。
ぴー吉が、陽だまりのベランダの手すりでなごんでいる時、その姿をガラスの向こう側に見て、僕はまた“内側”にいる自分と、ぴー吉を通して感じる“自然”みたいなものをまた意識する。
松戸在住の60代の男性・Sさんが、ご自宅の庭にやってくるというヒヨドリの写真を2枚見せてくれた。いずれもガラス戸の内側から撮られた写真である。
Sさんも“内側”にいる自分とヒヨドリとの近くて遠い距離をたのしんでいるということをおっしゃっていた。
ある日、Sさんから、その庭で栽培しているキヌサヤを頂だいした。
キヌサヤは玉子とじにして晩酌の肴にいただいた。ガラスの向こうの宵に春が訪れていた。
