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ぴー吉 上野 歩 / イ 
第168回『能登(中編)〜バイキング料理についての考察〜』・・・P3

挿絵  海辺の町並みの瓦屋根が、皆黒々と美しいのは、2007年の能登半島地震で被害が出て、葺き替えたからだとか。
 護岸も新しく整備された様子がある。
 あの頃は、遠いところで起こった地震くらいにしか思わなかった。3・11に瀕するまでは、日本列島のどこで起こった地震も他人事だったのだ。申し訳ない話だ。
 海岸線を離れ、輪島の町へと入ってゆくと、「鍵かけよう、家も車も自転車も」という標語の看板を見つける。まだまだのんびりとしたお国柄なのだ。

 輪島塗の工房では、職人さんがなにかの輪っかを赤い漆で塗装していた。これ、ティファニーのバングル(腕輪)で、使用している刷毛は10代の女の子の髪で作られたものとか。
 なるほど、工房の隅の古い木机の上に、赤いバングルが幾つも並んでいて、“ティファニー”とざっかけない感じで書かれた紙片が傍らに置かれている。ただし、この工房で買うことはできない。

 続いて、すぐ近くの輪島の朝市へ。
「どこからきたのー?」
「買ってかんかー」
「見てってよー」
 並んだ露天のあちこちから、ほっかむりしたおばあちゃんたちの声がかかる。
 その一軒で、干しアワビを味見して値段を訊くと、高くて手が出ない。干しサザエのほうも味見すると、うん、こちらもうまい。むしろ、アワビより味がいいくらいだ。ひと皿2000エンで、おばあちゃんが、さらにもうひと掴み載せてくれた。もらうことにすると、ワカメもオマケしてくれる。
 あちこちの露店で青海苔の佃煮の味見をして歩く。どこも微妙に味付けが違う。あんまり甘くないのを見つけて、お土産に瓶詰めを何本か買う。
 輪島塗のお店も数件あって、モダンなデザインの洒落た箸置きを買った。モチーフは鳩だろうか? ほかの鳥? なににでも見える。

 世界農業遺産に認定された市内にある棚田、白米千枚田(しろよねせんまいだ)と江戸後期の重要文化財民家、上時国家(かみときくにけ)を見学したのち昼食。新鮮な刺身の定食に舌鼓を打った。
(つづく)

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