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ぴー吉 上野 歩 / イ 
第202回 『削り屋』あれこれ・・・P3

『削り屋』はゲラの初稿が出ましたが、旋盤の加工場面に納得がいきません。その時になってやっと気づいたのです。自分は、削り屋のプロフェッショナルの言葉に頼り切っているだけで、旋盤そのものをきちんと理解していないのだということを――
 一を知って十を知ったような気になり百を書く、などといった言葉がありますが、今回はそれではいけないのだ、と痛感しました。

 では、旋盤について教えてくれるところはどこか?
 そうだ! 工業高校だ!!
 僕は自宅のある区内の都立工業高校に電話して、お願いしてみました。
 断られても仕方がない……とも思いましたが、翌週の土曜日に学校見学会があるので、「その時に地域の方のひとりとして来校しては」とのありがたいお言葉をいただきました。
 機械科の先生にお会いし、お話をうかがえたことで、僕は抱えていた疑問をすべて解消することができました。
 そして、初校ゲラにたくさんの赤入れを行ったのです。ゲラの段階になって、こんなに修正したのは初めての経験でした。
 工業高校で先生とお話しして、疑問をすべて解消したと書きましたが、修正作業を進める中で新たな疑問点が浮かんできて、放課後の学校に2度電話してしまいました。先生、ホントご迷惑をおかけしました。

 ところで、旋盤選手として技能五輪に出場した剣拳磨は29番というゼッケンを付けています。
 この番号はすぐに決まりました。
『あぶさん』の直筆サインをいただいたこともある水島新司さんの『野球狂の詩』に東京メッツという架空の球団が登場します。主砲は名門梨園の長男で女形という異色の三塁手、国立玉一郎――彼の背番号が29番なのです。

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