さて、のんびりだらだらとしているうちに移動日となった。次はバリ島に戻って芸術の村、ウブドに行くのだ。まずは乗り合いの船にのってロンボクまで行く。チケットは、浜のチケット屋で買ったのだが、その値段を宿の御主人に言うと「ベリーエクスペンシブ」でまたぼったくられたようだ。もしこれを読んでギリメノにいかれる方がいたら、船も飛行機もひとまず宿のご主人に相談してみたほうがいい。きっとまともな値段で交渉してくれるだろう。
ぼったくられてばかりの我々をあわれに思ったか、ご主人はロンボク島を案内してくれるという。わざわざロンボク島の友だちに車を出させてだ。なんとまあ御親切な。
乗り合い船の前では昨日のボッタクリチケット屋がニヤニヤしながら客を誘導していた。まあ旅行者価格といえば許せる程度のぼられ額だったのでちらりにらんで乗船する。
船にはこれでもかというくらい人が乗り、おまけに貴重品である水を持ち帰るための空のポリタンクがつめるだけつめこまれた。
ロンボクの浜では到着をまちかまえる男達がいた。皆デカイにもつをもって船をおりる。私のバックパックもまけないくらいでかいのでふらふらとしながら移動していると男の1人が手伝ってやるから荷物をかせ、と手をのばしてきた。反射的に荷物を渡して1秒後にまずいと感じふりかえると、後ろからきていたホテルのご主人とおちいさんがいかにも「なんでわたすかな、このオトボケめ」という顔でこちらをみている。
船をおりると荷物はもちさられていたという事はなかったが、男は「持ってやったんだから金よこせ」ともんのすごい形相でこちらに迫ってきた。そりゃまチップって事だから、あたりまえか。が、サービス内容にしちゃ随分とエクスペンシブなチップをしぶしぶ払う事になった。渡る世間に鬼ばかり。トホホ。
気をとりなおして、我々をまっていてくれたホテルご主人の友だちの車にのりこむ。思えば昼間のロンボクは始めてなのだ。そこはバリとはテイストの違う素朴な熱帯の風景がひろがっていた。
来る時真っ暗だった山道は、どうやら猿が多く出没する事で有名なようで、車をとめてちょっとだけ猿見物。なるほど猿がよってきた。
ホテルのご主人がせっかくだから写真をとったらどうだ、とシャッターをおしてくれたが、あとあと現像されてきたものをみると猿におびえて腰がひけている、目つきのおかしな2人組が写っていてかなり笑えた。
次に我々が両替えをしたいと申し出ると、信頼できるという両替屋につれていってくれた。
そこまでくると結構な町で立派な建物なんかもある。でも車の前に飛び出してベロベロバーなんておどけてくるおじさんがいたりして、それはバカにしているというより、「よっ元気?」というような、なんだかフレンドリーな感じだった。日本を出る前、あれこれロンボクの悪い話をきいていて神経質になっていたが、むしろバリ島の観光客とみればなんとかぼったくろうという雰囲気がなくて居心地がいいとさえ思えた。それとも、これもホテルご主人が同行してくれているからなのか。
そしてこれまたいかにも信頼できそうな旅行代理店につれていってもらいバリ島までの飛行機を予約する。対応してくれた男の人は、30代くらいのパリっとした格好をした、いかにもできる感じの人であった。スマートな笑顔に白い歯がアパガードよろしく輝いて好印象だ。横にいる女性社員がお客の前だっちゅうのになにやら食べていたのは、ここではたいした問題ではないのだろう。なんの悪びれた感じもない。
次の目的地に移動する車中、旬なのかホテルのご主人は盛んに「スイカはどうだ、買っていかないか?」と聞いてきた。そんな重いものもって移動できるわきゃないのでやんわりとことわると、「ホントに買わないのか?」と念をおしてくる。そんなにうまかったんだろうか。あれはナゾだったなあ。
到着したのはギリメノの商人アリババから買った事もあるバティックの大きな染め物工場だった。
工場といったってほとんど手作業、みれば子供のように若い職人さんたちが熱心に働いている。
すると広報部課長といった雰囲気の小柄で痩せ形のおじさんがでてきて、その行程をいっしょに歩いて説明してくれるという。しかも何と英語日本語ペラペーラだ。ほほーこりゃすごいぞ。ホテルのご主人は休憩所でまっていてくれるというので、お言葉にあまえて見学としゃれこむ事にする。
バリ島ロンボク旅行も日程の半分がすぎようとしていた。