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挿絵
2014 上野亭店主口上 BACK NUMBER

>2014.11

挿絵

一日中家で仕事をしてるので、なにかと用事をつくって(用事がなくても)夕方の散歩に出ます。
冬の6時半は真っ暗です。図書館に向かって歩いていて、ゴルフ練習場の横にさしかかった時でした。夜空の向こうで明るい光の玉が落ちるのが見えたんです。最初は飛行機が墜落したのかと思いましたよ。けれど、爆発音のようなものは聞こえません……
そのあとで気がつきました。流星だったのだ、と。23区でも流れ星が見えるのですね。冬の夜空は澄み切って、限りなくロマンをかき立てられます。

※後に「火球」と呼ばれる獅子座流星群の明るい流星と知りました。

>2014.10

挿絵

鯛を1尾買ったとします。三枚に下し、身は昆布で〆たのち、皮だけさっと湯引きして氷水にさらし、ポン酢で頂く。
さて、あらはどうするか? 最近我が家では鍋仕立てにしています。酒、しょう油、塩、昆布で炊いて、木綿豆腐、白菜、ねぎと一緒に食します。コラーゲンたっぷりで唇がぴたぴたしてきますよ。

>2014.9

挿絵

きぬかつぎは塩を付けて食べるのではなく、塩で茹でるのがいいのです。小粒の里芋を皮ごと茹でて、茹で上がる寸前に鍋に塩を入れる。
つるりつるりと皮から押し出すように口に入れる里芋に、ほのかに塩味がするのがいいのです。

>2014.8

挿絵

暦の上では秋とはいえ暑さが続くこの頃、 僕はお稲荷さんを食べます。すし飯に山椒の実が混ぜ込んであるのが我が家流。これが口をさっぱりとさせてくれるんです。
おしのぎに稲荷ずしをまずひとつ。今夜の酒の肴は、枝豆に冷奴、そして焼いた塩サバに大根おろしを載せて。辛い大根が食べたいのです。だから、たっぷりたっぷり載せます。

>2014.7

挿絵

日に焼けやすい僕は、信号待ちをしていても黒くなります。
先日、鎌倉で「自分史講座」を開講したのですが、往きの湘南新宿ラインでうたた寝していただけでガングロになってしまいました。

>2014.6

挿絵

気軽に食べられなくなったうなぎですが、そうだからこそ、土用の丑の日には、ここぞというところで存分に味わいたいもの。 で、うな重を食べるためだけに静岡県は三島に出かけてきました。
安政年間創業の桜家さんは、富士山の伏流水で泥や臭みをとったうなぎを供してくれます。たれは甘すぎず、うなぎの身肉は清々しい。やはりうなぎは魚なのだということを思い出させてくれる味。皮までとろける魚です。
うなぎが焼けるのを待つ間、一杯飲(や)る肴はきもの時雨(しぐれ)煮。こちらも、きもはまさにレバーなのだと再確認するお味でした。

>2014.5

挿絵

「よろしいですか?」と言ってその女性はエレベータに乗り込んできました。住んでいるマンションのエレベータに乗るのに遠慮してひと声かけたのは、2人の元気な男の子を連れていたからでしょう。
日中ずっと雨。それがやんで、僕は散歩がてら近所のポストに郵便物を出して帰ってきたところでした。
エレベータを降りてゆく時、「さよなら」と2人の男の子が僕に向けて手を振りました。「さよなら」と僕も2人に声をかけます。「失礼します」とお母さんが挨拶し、「ごめんください」と言った僕にあたたかなものが残ったのは、一日中家にいて人恋しかったのと、さっき雨上がりの空に広がっていた夕焼けがとても美しかったからでしょう。

>2014.4

挿絵

晩酌の食卓に、たまにフタ付きの茶碗が登場します。有田焼のかわいらしい小ぶりの茶碗で、ご飯ものを盛ることが多いです。今夜は青豆ご飯。
アスパラとベーコンの炒めでビールを飲み、お酒に替えて赤貝のヒモやウドの酢味噌がけに箸を伸ばす際にも、常に目の端にはフタ付き茶碗があります。このフタをいつ取るか、それは豆ご飯を酒の肴の一品とするか、酒の締め括りにするか、楽しみな逡巡なわけであります。

>2014.3

挿絵

桜が散る頃、ベランダのヒメリンゴの白い花が満開になります。手前のイロハモミジも赤く芽吹いて、華やぎます。白と赤の饗宴。
今日は昼に、塩味のインスタントラーメンをこしらえました。トッピングはコーン、バター、白ごま、それにプランターから刈ってきたアサツキの小口切り。ベランダを眺めつつ麺を啜ります。これもまた花見なのです。

>2014.2

挿絵

洗濯機を買い替えました。
長年使っていた洗濯機には、乾燥機を載せるタナが付いていました。乾燥機はとっくに壊れてしまい撤去したのに、どうしてもそのタナだけ外すことができなかったのです。
新しい洗濯機を運んできた業者の若い男性が、「なめっちゃって(ねじ山がつぶれちゃって)たみたいですね」と言って、それでも電動ドライバーでタナを外してもらった古い洗濯機は、なんだか肩の荷を下ろしてホッとしたようでした。お疲れさま。

>2014.1

挿絵

外で飲んで帰り、ひと風呂浴びて、もうちょっと飲みたいナと思う。そんな時、僕ならハイボールです。ウイスキーのソーダ割り。ビールだとちょっとお腹いっぱいだけど、湯上りでシュワシュワしたもので喉を潤したいのです。
たとえばどこかの地方空港で、ひと品 ふた品つまんでビールを飲み、ご当地ラーメンで〆て飛行機に乗り、羽田からリムジンバスに乗って帰宅。入浴後の1杯といったらコレでしょうね。いや、もちろん飲まないのに越したことはないんですけど。

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