翌朝、ピタマハの人に今日の予定を聞かれ、画廊にいくのだというと、よい店があるのでつれていってくれるという。最後まで親切なのだ。
そういえば書くのを忘れていたが、ジャムウというバリ島の伝統薬の店にもつれていってもらった。ジャムウというのは薬といっても正露丸のような形で、ちょっと漢方のような味がする得体の知れないやつだ。効能も風邪だとかハライタなんていう代物ではなくて、ちなみに我々が買った薬でいうと「あたまが良くなる薬」だとか「筋肉マンになる薬」「美人になる薬」等都合の良い品々だ。漠然としていてイカしているでしょう? パッケージも頭の良くなる薬だったら大学帽をかぷった人だったり非常にうさんくさい。ジュースのような液体バージョンもあるらしいけど、なんかさらに危険そうだよね。
話を戻そう。つれていかれた画廊はとても立派だった。美術館といってもいいくらいだ。すぐに中から清潔感のある白い衣装を身にまとった、端正な顔つきだが鼻毛が異常に生育している店の青年が現れた。
店構えが立派なだけあって、中に入っても飾ってある絵はドデカくてたいそう立派なものが多い。せっかくなのでゆっくり見物したい所だけれど、最終日という事もあって時間もないので、細密画や蓮の苛の絵で小さいサイズのものはないか、と質問してみる。すると端正な顔つきだが鼻毛が異常に生育している青年が、ガッテンだとばかりにそれらしきものを数点あつめてきた。さすがピタマハおすすめだけあって、なかなかに良い品ばかりだ。蓮の絵など大きくも小さくない絶妙サイズで気に入った。
その他ライステラスにサギが飛んでいる細密画等数点を購入した。自分が絵描きだから言うわけじゃないですが、絵を買うっていうのも気分のいいものですよ、みなさん。
値切ってみると、朝1番のお客なので特別だよ、といっていくらかまけてくれた。きっと2番目の客にもなにかうまいセリフをいうんだろうな。
次に陶器の、今度はちゃんと昨日の店に向う。沢山買ってしまいそうだったが、絵よりさらに持ち運びが大変なので、厳選していくつかの皿や急須等を購入した。こんなの日本で買ったらめっちゃくちゃ高いだろうが、たしかみんな数百円とかで激安であった。
こちらはお会計の際、おまけで無気味な顔つきの赤ん坊のような形のお香立てをつけてくれた。あたまに穴があいていて、そこに線香をつきさす。
いよいよピタマハを後にする時がきた。
チェックアウトをしていると、あの責任者らしいホテルマンが現れて、
「マタ来年アイマショウ」
といった。
走り出した車から振り返ると、夢からさめる様に、あの素晴らしい部屋やプールがどんどん小さくなっていく。
とうとう米つぶくらいになっても、ホテルマンはやっぱり来た時と同じように、フワリフワリとした動きで手を振ってくれているようだった。
さあ次回はついに最終回。
ここまできたら最後まで読むしかないでしょう。
それでは、また。