空港では、あまったお金(ルピア)を使いきる買物大会となった。
おちいさんは欲しかった香水を見つけたまではよかったが、残金がほんの少し足りない。ねぎろうと試みていたが、空港の免税店では無理なのであった。店員をうらめしそうににらんでいるおちーさん。心なしか何か呪いの言葉をつぶやいている気がした。
しかしどうもいざ買おうと思うとなかなかこれだ! というものが無い。フライト時間のせまる中セカセカと歩き回りようやっといくつかの品をゲットした。2つほど紹介すると、まずウブドの演奏合戦で感動した「ジュゴク」のCD(帰国後聴いてみたけれど、やっぱり生とは違うなあ。)、それとウッドカービングの蓮の花。ウッドカービングというと果物がすぐ浮かぶ。それ以外でも蓮の花は見た事がないので、ちょっと高かったのだけれどおもわず奮発してしまった。組み立てると高さ60cmくらいになって、かなり迫力があるのですよ、これが。
いよいよ帰国の飛行機に乗り込む。
オーストラリア旅行も色々あったけど、今回の旅はもっと濃かったなあ。ロンボク島からギリメノまでの道のりは恐かった。ウブドの演奏合戦、迫力だったなあ。色々見たし食べたし出会いもあった。ゆったりも適度なハラハラもあった。
よい国だったな。不思議な所だった。また来る事があるだろうか...。
来た時の飛行機では、きっと油断をしたらヤられるとばかり鬼のような顔をして荷物をかかえていたにちがいない。今はつきものが落ちたように、ただ安らかに眠りに落ちていく。
そしてやっと時間軸は現在に追い付く。
あれから世界は、ビールスや寒い夏、南や北の物騒な男なんかに、かわるがわる長い事脅かされている。自分にできる事といえばせいぜい手を洗う事くらい、あとはただじっと見守るだけ。
「この夏の海外旅行者数も少くて、家でゴロリの夏休みが多くなる」とTVの男が予想する。
昼ごろ起きてビデオとバターしょうゆのポップコーンとか、近所の定食屋「一休」で瓶ビールとメンチカツ定食なんていう休日。それもわるくない。
小学校の頃からどこか違う場所にいってみたいという願望があった。夏休みともなれば、1人知らない方へとどこまでも歩いたものだ。花火にみとれて夜おそくなり、家族に説教されたりもしたっけ。
さあ、私はもう出かけます。
「川口浩ほどのスリルはいらない、ほんの少しの冒険があればいい...」
広げた世界地図をなぞる指先は、マレーシア、スリランカをこえて、ダイポール・モード現象まっただ中の小さな島々の上で止まった。
そう、次の目的地はインド洋の真珠、モルディブ共和国。
予約はOK。あとはバックッパクに荷物をつめこむだけだ。
かくして私の顔はまた、鬼へと近付く。